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2021年05月01日

2021年度 東京大学二次試験講評《化学》

試験時間は理科2科目で150分。2020年同様、3つの大問が独立した2題に分かれて出題され、実質に6題分の構成であった。第1問が「有機化学」、第2問は「理論・無機化学」、第3問が「理論化学」分野からの出題であった。

ここ数年難化傾向であり、今年度も2020年度より難化している。また計算問題を中心に分量が大幅に増加しており、試験時間内に全問解答することは極めて難しいであろう。解き易い問題からミスなく確実に得点を積み上げていけたかどうかで得点差が生じたであろう。

大問1の前半はC6H12Oの構造決定問題であった。化合物A~Gまでは比較的容易に決定できたであろうが、化合物Hの構造をオゾン分解の反応機構をもとに決定するのが受験生にとっては難しかったと思われる。後半はジアゾ化やカップリングなど芳香族窒素化合物の反応と同位体の存在比率の関連について問われた。高校で学習した内容をもとに考察していけばよいのだが、ジアゾニウム塩の加水分解生成物のうち、フェノール以外の芳香族化合物を決定する設問などは教科書には記載されておらず、問題文の条件より考察していく力が問われた。

大問2の前半は、水素吸蔵物質の可逆反応について問われた。一つ一つの設問はそれほど難しいものではないが、計算量が多く、答えにいたる過程を書かせる設問もあったため、完答するにはやや時間がかかる。後半は、pHとアミノ酸の構造および酵素反応の反応速度の関係性について問われた。反応速度定数を用いて活性化エネルギーを求める問題など解いた経験のある受験生にとっては取り組みやすい設問が多かった。

大問3の前半は、モール法の実験内容に関する問題であった。前問の解答を用いて解く設問が続くため、計算ミスが無いよう解き進めなければならない。エでは、溶解している銀イオンの物質量を考慮し忘れないように注意したい。後半は水素貯蔵方法と結晶構造について問われた。計算量が非常に多く、論述問題も含まれていたため、取捨選択が重要であったと思われる。

例年、思考力・計算力を要する問題が多く、考え方や計算の過程を答えさせる形式となっており、他大学と比べて難易度は高い。また、単純な知識問題が出題されることはほとんどなく、知識を活用することを要求される。高校レベルの問題集では見かけない物質やテーマがよく出題されるが、問題文中に考え方や解法のヒントが示されていることが多く、読解力と思考力を養成しておきたい。また、論述・記述問題も多く出題されるため、対策が必要である。





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