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2021年05月01日

2021年度 東京大学二次試験講評《物理》

試験時間は理科2科目で150分、大問数は3題で例年通り。出題分野は例年力学と電磁気が1題ずつで、それ以外の分野から1題出題されている。2021年度もこの通りであり、3問目は原子物理を含んだ波動力学であった。2020年度と比較してやや難化したが、それぞれ東大らしい思考力を試される良問が並んだ。また2018年までほぼ出題されることのなかった空欄補充の設問が2019年度から出題され始めたが、今年度もそれは踏襲されている。この空所補充の問題は基本レベルであり、物理が苦手な受験生でも少しは点数が取れるようになっている。

大問1は身近な物理現象を取り扱かったブランコをこぐ行為を物理的に考察する問題であった。導入部分の空所補充問題は平易。その後も出題者が受験生を丁寧に誘導していこうという意図が文章から垣間見ることができ、ほとんどの設問で解答で使用すべき文字が指定されていることもあり、それぞれどのような思考で解いていくのかの方針が立てやすくなっているので、20分程度で完答することも十分可能であろう。

大問2は平行平板コンデンサーの問題であった。前半は極板間距離を変化させる問題で、少し計算が煩雑ではあるが、標準レベルの問題なので確実に処理したい。後半は2個のコンデンサーとコイルで構成された回路の電気振動で、コイルに流れる電流が最大の時にその電位差が0になることに気づけたかどうかが得点差につながっただろう。鷗州塾の選抜系の物理クラスを受講していれば、類題を演習していたのでかなり有利になったと思われる。

大問3は光ピンセットの原理についての問題である。原子分野の光子を利用したものであるが、解くうえでは原子の知識はあまり必要がない。また波動分野も屈折の関係さえわかれば、後は誘導に乗りながら図形的な処理をしていく問題であった。物理学がやや苦手でも幾何学が得意であれば完答も可能であっただろう。

全体的に問題文もよく練られており、そこからどう解いていくのかを判断できることも多い。また前問の結果を利用しながら次の問題を解く構成になっているものが多いことや文字の指定も意識し、各設問の状況を整理しながら解き進んでいく必要があったであろう。

東京大学の物理は、全体のボリュームが大きく、かつ記述を要求しているので時間内に解ききるのはかなり困難である。したがって、まずは基本的、標準的な問題を見抜いて確実に得点源にしていく必要がある。その上でさらに、物理の本質を問う設問にもアプローチできるよう、日頃の演習から物理的意味を考え、思考力を養成していきたい。





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