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2020年04月28日

東京大学二次試験の講評(2020英語)

試験時間はリスニングを含め120分であり、大問数は従来通り5題であった。大問1(A)は例年通りの要約問題であったが、2019年度と異なり、要約問題を解答していく上での指示は問題には存在しなかった。解答作成に関しては、例年通り、論点を取捨選択しながら13分程度で解答を完成させなければならないことから、過去問などを使用した「慣れ」の部分は必要不可欠である。また、解答字数が少ないことから、思い切って削除すべき箇所を特定できたかどうかも解答速度と大きく関係したと考えられる。(B)は、大きくは2019年度と同じ形式であったが、空所の数が1つ減り、さらに記述問題が整序形式となった。空所の前後の指示が明確にあることから、解答は決めやすかったと考えられるものの、試験時間との関係から10分以内で解答しなければならず、焦った受験生も少なくなかったと考えられる。大問2(A)では、「言語と人間との関係」に関する自由英作文が出題された。文字数は例年同様であるが、テーマは近年で一番書きにくく、構成を決定するのに戸惑った可能性が高い。(B)では昨年同様、和文英訳が出題された。大問3のリスニングも難易度は例年並みであったが、英文を聞き取る能力と選択肢を理解する能力の両方を1度に問われ、配点も30点程度と考えられることから、苦手な生徒は半年程度の準備の期間が必要と考えられる。大問4(A)は正誤問題が出題された。正誤問題と整序問題のどちらが出題されるかが年によって変化しているため、両方の対策を普段からしておくことが望ましい。また、特に動詞の語法に関しては、例年以上に識別しにくい問題もあり、単語を覚える際に例文も使用しながら、動詞の後ろの形を確認しておきたい。(B)に関しては、過去問で慣れている受験生には構文の把握などは例年通りであったと考えられる。(イ)の和訳には、指示語や抽象的な箇所が何を示しているのかを特定する要素も加わり、日ごろの練習の着眼点が試されることとなった。大問5に関しては、多くの受験生は20分~25分程度の解答時間を予定しているが、この時間内では本文の大まかな内容は読み取れても、設問の空所補充などの問題で正確に解答するのは困難であると予想できる。特に(C)の問題に関しては、下線部の直前直後だけを表層的に理解する読解方法では到底正解にはたどり着けない。


例年、東大の問題は制限時間に対して問題量が多く、素早く問題の狙いをつかみ、設問を処理する能力が必要となる。また、東京大学は、解答が1種類ではないことも明言しており、英作文などではいかに自分の考えを論理的に説明できるかどうかが今後も鍵となりそうだ。問題の傾向も毎年少しずつ変化しており、いわゆるパターン的な用意ではなく、包括的な英語力の向上に努める姿勢を大切にしてほしい。


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