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2021年05月01日

2021年度 京都大学二次試験講評《化学》

試験時間は理科2科目で180分。大問数は4題、そのうち2題が「有機化学」で構成される。「有機化学」は構造決定と天然有機化合物1題ずつで構成され、残り2題は「理論化学」と「無機化学」の融合問題が多い。

2021年度も問題構成は例年通りであったが、2020年と比べてやや易化したといえる。分量も減少したため、平均点は上昇するであろう。2020年度と異なり、導出過程を書かせる計算問題が出題されず、大問4で論述問題が出題された。

大問1は、硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電気分解とそれに伴う水溶液中の銅イオンの定量について問われた。京都大学の入試問題としては相当平易な問題であり、完答した受験生も多かったと思われる。

大問2は、硫酸の二段階電離と水酸化ナトリウム水溶液を加えた際の反応熱について問われた。問2の水酸化ナトリウムの加えた量とそれに伴う水素イオンおよび硫酸水素イオンの変化量の関係式をきちんと作れたかどうかで得点差がついたであろう。問5の発熱量を指定された文字を用いた式で表す設問も題意が読み取りにくく、やや難しい。

大問3の前半は、リグニンの熱分解による生成物の構造決定問題であった。一見難しそうな問題だが、図2のグアイアコールの構造をもとに考察していけば生成物の構造が容易に決まる問題であった。後半のバニリン製造工程に関する問題も例年出題される問題に比べれば取り組みやすいものであったといえる。

大問4の前半はアスパルテームの合成経路について問われたが、同大学の受験生の中にはアスパルテームの構造式を覚えているものも少なくはないであろうし、容易に完答できたであろう。それに比べ後半のペプチドの構造決定問題は問題文の条件から末端部のカルボキシ基がアンモニアと反応し、構造が変化していることに気づかなければならなかった。教科書範囲外の反応でもあり、思考力の問われる難問であった。

例年、「理論化学」は前半の基本事項をもとに後半で思考力を試す誘導形式が多く、設問は徐々に難しくなる構成となっており、中でも化学平衡に関する問題は必ず出題される。「無機化学」は、教科書範囲内の標準的な物質を題材とした問題が多い反面、「有機化学」は構造決定問題と天然有機化合物1題ずつで構成されており、一部にやや難度が高い設問が含まれる。出題範囲の50%を占めるこの「有機化学」分野で高得点を狙える実力を養うことが京都大学化学攻略への近道といえよう。





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