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2021年04月27日

2021年度大学入学共通テスト《世界史B》

試験時間は60分。大問数は4つから5つへ増加、設問数は36問から34問に減少しました。多様な資料を読解する力を求められ、「思考力」を必要とする問題が大幅に増えたため、センター試験よりも難易度は高かったといえます。また、文献資料・地図・グラフ等の資料を多面的・多角的に考察する問題が多く出題され、今までのように資料を読み飛ばしても語句知識だけで解答できるような問題はほぼなくなりました。

地域は西ヨーロッパと東アジアからの出題が多く見られ、時代ごとのばらつきもなく、バランス良く出題されていました。このため、高校の授業や参考書等で慣れている「地域史」や「テーマ史」だけの学習、一問一答に依存した学習だけでは高得点には至らなかったでしょう。また、何となくぼんやりとした知識だけで世界史を学習していた受験生は、選択肢を絞り込めなかったでしょう。「まんべんなく(漏れなく)」「幅広い知識・理解」を求める本当の意味での徹底した「世界史」の能力が試されていたため、難しく感じた受験生は多かったと思われます。

《第1問》資料と世界史上の出来事との関係
Aは「『史記』に見える始皇帝死亡時の逸話」、Bは「歴史家マルク=ブロックの『歴史のための弁明』」についてでした。問3は司馬遷による批判の対象となった政策を『史記』の解説から読み取った内容と結びつけて解答させるという、今までになかった形式でした。問4・問5はブロックの文章を読み解いて、歴史上の出来事と文書資料の内容を組み合わせる問題でした。フランス革命期の社会状況を踏まえた上で対応する必要がありました。

《第2問》世界史上の貨幣
Aは「イギリスにおける貨幣鋳造量・紙幣流通量の推移」、Bは「アジアの貨幣」。Aの問1・問2はグラフの読み取り問題ではありましたが、問2については2つのグラフを比較し関連性から仮説を考察させることが要求されていました。問4・問5はセンター試験同様の知識を求める問題、問6は会話文の内容からムスタファ=ケマルを想起し、業績を判断させる問題でした。

《第3問》文学者やジャーナリストの作品
Aは「『デカメロン』とその内容」、Bは「大庭柯公のロシアにおける革命運動の展開」、Cは「ジョージ=オーウェル『1984年』についての討論」。いずれも資料文を読み取って解答する問題でした。通常の四文正誤問題は3題のみで、残り5題は組合せの問題、特に問2・問5・問7・問8のように資料内容を正確に読み込んだ上で解答する問題が多かったです。判断に時間がかかったと思われます。

《第4問》国家や官僚が残してきた文書
Aは「ベルリン条約」、Bは「上野動物園での会話文」、Cは「英領インド統治に関連する文書」。問2は資料文にある自治公国からブルガリアであることを判断し、さらに地図で特定する問題でした。地図を使用した問題はこの問2のみでした。問5はX・Y・Zの資料内容を読み取って年代順に並べる問題。X「米中共同宣言(1972年)」、Y「中ソ友好同盟相互援助条約(1950年)」、Z「日中共同声明(1972年)」。XとZの順序についてはニクソン訪中を受けて田中角栄が訪中した事実を踏まえて解答します。また、問9のムガル帝国に関する問題にある③のワヤン、④のウルグ=ベクは、かつてのセンター試験の本試験・追試験でも出題された内容でした。

《第5問》旅と歴史
Aは「ヨーロッパにおける旅と歴史」、Bは「韓国の石碑に関する会話文」。問3は資料文にある地域1~地域3が古代ローマの支配下に入った順を正しく配列する問題でした。1がシチリア島、2がブリテン島、3がアテネ(ギリシア)であることを特定し、さらに古代ローマの征服過程と結びつけて解答します。問4・問6は朝鮮史に関する問題で、まんべんなく学習できていない受験生には盲点だったと思われます。また、問5は会話文の「…14世紀末の建国以来,朝鮮が重んじた. オ.を重視…」から、「オ」が朱子学であることを特定し、②の「王守仁によって批判された」が正文であることを判断します。

以上からも明らかなように、世界史を学習する際には「どの時代(世紀・年代)なのか」「どの地域なのか」という意識は常に持っておくことが重要です。古代から現代まで幅広く、かつ政治史・経済史・文化史まで偏りのない世界史知識を身につけておくことは大前提で、苦手単元を作らない学習が必須課題でしょう。また、資料集や教科書にある地図や写真等の図版を適宜チェックする習慣を身につけておきましょう。基礎知識をおさえることを決しておろそかにすることなく、背景や原因、その結果を意識しながら学習し、理解に重点を置きましょう。


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