メニュー

2021年04月27日

2021年度大学入学共通テスト《日本史B》

試験時間は60分。大問数は6問で変化なし、設問数は36問から32問に減少しました。文書史料はもちろんのこと、ブラジルの新聞や小判の重量と金の成分比率のグラフ・荘園絵図など多様な資料を読解する力を求められ、「思考力」を必要とする問題が大幅に増えました。政治・社会経済・外交・文化のいずれのジャンルもまんべんなく出題されてはいましたが、昨年度のセンター試験と比べるとやや社会経済史が多く見られ、文化史が減少しました。また、近現代史の出題が多く見られたものの、古代から現代まで出題されているのも例年通り。総じて、解答に必要な資料読解の分量が増えていること、例年にない形式の問題が多く出題されたことを考慮すると、センター試験よりも難度は高かったといえます。

《第1問》貨幣の歴史
博物館での2人の会話文やメモを読み取りながら解答する形式で、古代から現代までの貨幣史を問うています。問1は文章X・Yと8世紀前半の法令(大意のみ記載されており、歴史用語は含まれていない) a~d との組み合わせを解答させる今までになかった形式でした。
問2は「一遍上人絵伝」の図版、問4は小判の重量と金の成分比率グラフ、問6はブラジルの新聞写真と解説文の内容を参考に、日本史知識と組み合わせて解答させる問題が見られました。

《第2問》日本における文字使用の歴史
Aさんは「文字使用の開始」、Bさんは「文字使用の展開」について調べ、発表要旨を読み解いて設問に解答させる形式でした。問1は1世紀・3世紀・5世紀の中国諸王朝の領域が示された地図を年代順に配列させる問題で、これも従来は見られなかった形式です。また、問4は国風文化についての“評価”と“根拠”を組み合わせる問題で、文化史まで網羅した基本的知識を求められていました。

《第3問》中世の都市と地方との関係
問1では、荘園に関する史料・絵図を読解して解答させる問題、問2から問4は中世における政治・社会経済・文化について問われており、歴史用語に関する知識を踏まえて解答できました。

《第4問》近世社会の儀式や儀礼
問1は江戸城本丸御殿の模式図・殿席の説明文を踏まえて、文章X・Yの正誤を判読する問題でした。資料読解能力と日本史の基本的知識を融合させた設問。問4(1)(2)はそれぞれ休日について定めた史料を丁寧に読解して解答させる問題でした。

《第5問》景山英子(福田英子)の人物史
問3は景山英子の『妾の半生涯』からの引用文を読み取った上で、明治の教育制度の理解を問われました。また、問4は1907年の社会に関して述べた文章X・Yについての正誤判断問題でした。歴史学を学ぶ以上、共通テストであっても年代感覚は必須条件です。

《第6問》第二次世界大戦後の民主化政策
農地改革の背景・過程と実績に関するスライド資料を用いた設問でした。問1では明治期の大地主と小作人に関する文章X・Yの正誤判断問題で、寄生地主制の知識を求められました。問4は戦時下の物資統制について問われており、切符制や価格等統制令の知識問題でした。また、問7では戦後の農業展開に関する問題で、減反政策と農業基本法が制定された理由が理解できていれば正解できました。

上記からも明らかなように、共通テストで高得点を狙うのであれば、“単なる語句の暗記だけ”ではまったく点数に結びつきません。だからといって、暗記が不要というわけではなく、日本史を学習する際には各時代・ジャンル・事件・人物等についてのイメージをつかんだ上で正確に語句を覚え理解すること、暗記と理解のバランスを意識すること、古代~現代及び各ジャンルの知識を身につけていくことを心がけましょう。


鷗州塾高校部の日本史受講生平均は、全国平均よりも「10.0点」高い!(2021年度入試)


鷗州塾高校部については、詳しくはこちら


資料請求はこちらから♪来校予約はこちらから♪



一覧へ戻る